コロナとの共存で学校が変わる
大賀郷小で
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2つの教室に分かれて行われた3年生の授業。担任の白石幸伸教諭はこの4月に赴任してきたばかりで、子どもの顔と名前を覚えている最中だ。休校中も何度か家庭訪問をしたが、みんな自宅でまじめに勉強していたという。準備登校では前学年の3学期にやり残した未履修分をカバーするところから始めた教科も。2クラスに分かれての授業は差がつかないように、これまでになかった気配りも求められる
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新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、3月から異例の休校措置を続けてきた島内の小中学校。5月20日から準備登校が始まり、子どもたちの元気な声がようやく校舎に帰ってきた。緊急事態宣言の発表前から、休校、再開、再延長と、学校現場はコロナ禍で振り回され続けている。感染状況によっては再び休校となることも織り込んで、6月1日から本格再開を迎える。
大賀郷小学校(川畑伊豆海校長、児童数94人)では5月20日に1、3、5年生、翌21日は2、4、6年生が登校した。児童にとって4月7日以来、教室での久しぶりの授業となった。
学校は感染防止対策で、校内いたるところに消毒液を配置した。学年別に指定した手洗い所にはビニール製の仕切りを設置し、児童が待つ位置も廊下に足形を貼って距離を確保した。男子トイレに3つ並んだ小便器も中央の一つは使用できなくするなど、「3密」を防ぐための工夫が各所に見られた。
八丈町の各小学校はもともと児童数が少ないこともあり、授業中のソーシャルディスタンスは比較的確保しやすい。大小では最も児童数が多い3年生(20人)と、1年生(19人)、4年生(18人)の各学年は、当面2クラスに分けて授業を行うという。6月から全学年が一斉に登校すると、教室の確保が難しくなるが、「特別教室なども上手く活用して、できるだけ距離を保っていきたい」という。
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子どもたちは2カ月半、ずっと家庭で過ごしてきた。家族みんなにとって初めての経験で、不安やストレス、がまんすることも多かったはず。久々の学校での友だちとの再会にもっとはしゃぐ姿が想像されたが、授業中も、休み時間も、淡々と過ごし、手洗いなどもきちんとこなしていた。
照井淳副校長は「家庭での取り組みもあって、マスクや手洗い、友だちとの距離も守っていた。今回の事態が大変なことは子どもなりに理解していて、緊張感も感じられた。当然、不安もあるので何も影響が出ないはずはない。子どもの声を聞いたり、話しかけたりして、行動に変化がないかを丁寧に観察しながら対応していきたい」という。
これまでは、決められた年間行事や授業計画に沿って動いてきた学校運営も、新たな対応を迫られている。1学期はすでに授業時間が大幅に減っており、今後、行事をしぼったり、授業の内容も精選していかなくてはならない。また、第2波、第3波がやって来れば、新たな休校措置がとられ、スケジュールの変更は避けられない。
オンライン授業の導入が加速されるなど、教員にもこれまでの経験則だけでは通用しない新たな教え方へのチャレンジが求められる。目の前にはほかにも解決すべきことがたくさんある。下を向いているわけにはいかない。照井副校長は「こんな時なので、子どもたちには困難に直面した時に、一致団結してそれを乗り越えていくことを経験してほしい。それは手探りの私たち教員にとっても同じで、子どもたちと一緒に前に進んでいきたい」と話している。
定額給付金10万円
申請受け付け中
新型コロナウイルス感染症の緊急経済対策で、政府が4月27日の時点で住民基本台帳に記載されたすべての人を対象に、1人一律10万円を支給する特別定額給付金の申請書類の送付(世帯主あて)が21、22日に行われた。申請には申請書のほかに本人確認書類、振込先口座の確認書類が必要になる。受付は原則として郵送やオンラインで。
町では5月23日から31日まで、町ホールをはじめ、坂上の各公民館(出張所)に窓口を開設し、申請を直接受け付けている。23、24両日、窓口で申請したのは577人。郵送も含めると1500件ほどになった。一足早く12日から始まったオンラインの申請受付は17日までに43件あり、早い人で、今月中に給付が行われる。
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