島のバナナ DNA解析で交流史探る
小谷千葉大教授ら 八丈を調査
八丈島では庭先にバナナを植えている家も多いが、生態人類学が専門で、世界でのバナナ栽培を比較研究するプロジェクトに参加している千葉大学の小谷真吾教授と学生8人が、9月10日から18日まで、八丈島での調査を行った。
大賀郷の園芸家・菊池寛さんの話では、八丈の露地に植わっているのは多くが寒さに強いキングバナナ。伝播経路については、父や農協関係者から「小笠原から入った」と聞いたという。八丈の温室で栽培されている品種は、ほとんどが寒さに弱く、背が高くならない三尺バナナだ。
小谷教授が八丈島で特に確認したかったのは六角バナナの存在。島を訪れる前、「現物があれば、小笠原のサンカクバナナと同じかを確認してみたい」とのことだったが、寛さんの案内で、大賀郷、豊島幸子さんの庭で立派に実った六角バナナの果実や葉、花房を分けてもらうことができた。形態的にはサンカクバナナと同じ品種だった。
六角バナナの系統は、パプアニューギニアの主力品種の一つで、サイパンかパラオ経由で小笠原に入ったのではないか、との話を小笠原の農家から聞いているという小谷教授。「オセアニアにおける人とモノの移動史を考察するのに面白いですし、戦前戦後の日本と南方の交流史の一面を見ることもできそうだ」と話している。
小谷さんらはこれから、パプアニューギニア、パラオ、沖縄、小笠原のバナナの品種をDNA解析にかける計画だという。八丈島から持ち帰った3つの品種のサンプルの解析がうまくいけば、系統関係と分岐年代がわかることになる。
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