島への大型家具・家電配送
東海汽船が引き継ぎ
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3日朝、底土港に貨物船・友正丸と貨客船・橘丸がそろって接岸、貨物コンテナの積み降ろしを行った。年度末と引っ越しが重なるこの時期は、例年貨物量が多くなるという
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通信販売や島外量販店の実店舗で購入する品物の、島への配送が年々難しくなってきている。特に大型電気製品や家具は「離島へは送らない」という販売店も多い。こうしたケースの増加を受け、東海汽船では島在住者が通販などで購入した大型家電などを芝浦、辰巳の同社営業所に持ち込めば、引き継いで各島まで配送するサービスを行っている。
通販での購入商品は、規定の送料を支払えば家まで届けられるのが通常だった。「全国送料無料」の品物は、その通り無料で届けられていた。が、ここへきて、通販業者などが島への配送に手間やコストがかかり、また、欠航による配送遅れというリスクもあることなどから、取り扱いを嫌がる傾向が増えてきている。
さらに大手の家電量販店などが大型家電品の配送に利用していたヤマト運輸や佐川急便などが、大型貨物の宅配サービスについて、規格や配送日数の変更、エリア制限などを行ったことも追い打ちをかけた。
ヤマト運輸は17年6月から、宅急便サイズ(縦・横・高さの合計が160センチ、重さ25キロ)を超える「ヤマト便」の規格を実重量30キロまで、3辺合計が200センチ以内に定めた(従来は上限なし)。佐川急便も「飛脚ラージサイズ宅配便」を、実重量50キロ、3辺合計260センチを超えると、別扱いでの配送としている。
こうした輸送環境の変化を受けて、離島へ届ける品物のサイズを制限する通販業者が増加。さらにサイズや商品価格に関わらず、一律に高額な送料を提示するなど、あからさまに門前払いするショップまで出てきた。
特に影響を受けているのが、冷蔵庫や洗濯機などの家電製品や家具といった大型貨物。そこで東海汽船では、貨物を最寄りの港まで配送してもらえば、そこから先の海上輸送と、島の各家庭までの陸送を引き継ぐサービスを開始した。
このサービスを利用すれば、通販業者に支払う送料に関しては、都内への料金で済む。その後の海上輸送費や陸送運賃は、東海汽船に支払うことになるが、同社のホームページで、品物の大きさによる料金シミュレーションも利用でき、注文前に概算の料金を把握できるようになっている。
流通の利便性は島の暮らし易さに直結する要素。「便利な都会から移住してきた人の定住の阻害要因になるのでは」、「東海汽船の対応はうれしいが、貨物運賃そのものが高い。旅客運賃を下げたように、国境離島法などの政治的な対応も必要ではないか」などの声も出ている。
引っ越しシーズンに…
3月末から4月にかけての年度代わりは異動のシーズン。都の職員や教員など公務員の転勤などで、例年50件ほどの家族や単身者の引っ越しが行われる。
東海汽船によるとすでに島外に出る40件近い世帯から「引っ越しパック」の予約を受けているという。コンテナでの海上輸送と内地での陸送をセットにしたものだ。また、ヤマト便などの規定が変わったため、段ボールに入る荷物は宅急便で運び、大型貨物だけを海上輸送してほしいという依頼も多くなっているようだ。
数年前から「引っ越し難民」という言葉が囁かれるようになった。業者の人手不足などで希望通りのタイミングで引っ越せない人たちだ。特に3、4月の繁忙期は、早めに予約しなければ、希望の日に荷物が着かなかったり、見積もり料金が割高になるという。島からの転居者にも難民はいるという。
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