22、23両日、「八丈島観葉植物トレードフェア」が開かれ、首都圏や大阪、名古屋から市場、園芸事業者など15社17人が参加した。かつては「全国競り市」が開かれるなど、活況を呈した八丈島の観葉生産。「少しでも元気を取り戻すきっかけになれば」と、八農振などの若手生産者が中心になってフェアを企画、実現した。
「フェアはやることに大きな意義があり、実現した若手の行動力は評価できる。他産地ではすっかり定着しており、八丈島もぜひ続けてほしい」──など、今回のトレードフェアは、参加した市場関係者らの多くから、歓迎の声が聞かれた。
22日、コミュニティセンターで行われた開会式で、同部会の菊池寛会長は、「バブル崩壊以降、価格が低迷し全国的に生産が減る中で、私たちは地道に生産を続けてきた。ここへきて変化に富んだ独特の八丈の生産品が評価されるようになってきた。八丈は小さい島だが、その中できらりと光る八丈島の植物を育てていきたい。これからも足繁く通ってください」と、集まった業界関係者に呼びかけた。
また、持丸孝松副町長は「みなさまの力で20年の東京五輪に八丈の植物を参加させてください」とあいさつ。JA東京島しょの菊池勝男組合長は「30年前は花や観葉は農業ではないと言われたが、こうして島の園芸は生き残ってきた。情報の受発信に力を入れて島の農業を発展させたい」と決意を述べた。
参加者は、コミュニティセンターで展示品の品定めを行った後、6つの班に分かれて22日は坂上、翌23日は坂下の各生産者の圃場を巡り、生産者と話を交わしながら直接取り引きを行った。
市場関係者は「例えばケンチャやシェフレラも10年、20年は当たり前で、年数的にここまでのものは八丈以外にはない。オーガスタも形や幹上がりが違う。目利きがここまで見にこなければいいものは買えないおもしろさが魅力で、初めてのフェアでもこれだけ人が集まった。こちらも飛行機代を出して来てますから、タダでは帰れない。仕入れに力が入ります」と話していた。
また、「後継者難や高齢化で全国的に生産者数が減っていることもあるが、観葉は品薄。商業施設やオリンピックの需要で大物などへのニーズは高く、揃えようとしたら沖縄か指宿、八丈しかない。首都圏から近い八丈産は持ちが良く、買ってから養生しなくてもお金を稼いでくれるので重宝しています」と、貸し鉢屋さん。
全体の取引数は未集計だが、中には初の現地商談会に「ご祝儀」の意味合いも含めてか大量に買い付けた業者もいた。また、付き合いのない市場関係者と話をすることで、販路の裾野が広がったのをはじめ、最新の市場や消費のトレンドもわかり、今後の生産方法や品種選択にも大きなプラス材料になった。