欠航による延泊も覚悟で、島から島へすべて船で移動する「伊豆諸島9島完全制覇の旅」ーー。こんなユニークなツアーが6月21日から29日までの8泊9日で行われた。欠航は1回あったが、漁船をチャーターして次の予定に間に合わせ、参加した10人は9日以内に9島を制覇できた。
企画したのは旅行代理店・クラブツーリズム。添乗員の馬場一枝さんは「ジェット船の欠航が多い利島も無事に就航し難関をクリア。就航率30%の青ヶ島の定期船も欠航しなかった。奇跡のようです」と興奮気味に語った。
試験運航に合わせ
伊豆諸島を結ぶ船の定期航路は、北部と南部で分断されている。通常は島から島へ船で渡るにはいったん竹芝へ戻らなければならない。今回はたまたま25日、大島‐三宅島間を東海汽船のジェット船が試験運航することになり、このツアーが可能になった。
1日目は午前8時50分に竹芝発のジェット船で神津島へ。翌22日は新島へ向かう予定だったが、ジェット船が全便欠航になり、神津島に延泊した。新島へ行けなければ式根島にも渡れない。そこで、3日目は旅行代理店が漁船をチャーター、新島から村営船「にしき」に乗り継いで式根島へ渡った。
式根島では露天風呂でひと息つき、午後3時10分発のジェット船で利島へ。4日目は利島を午後3時50分発のジェット船で大島へ。5日目は試験運航のジェット船で三宅島へ。6日目は「さるびあ丸」で八丈島着。「還住丸」に乗り換えて青ヶ島へ。7日目は午後3時45分に八丈島着。8日目は「さるびあ丸」で御蔵島へ。9日目の29日に予定通り竹芝へ帰った。
6人は小島にも
7日目の八丈島滞在中に、6人が遊漁船をチャーターして八丈小島へ渡った。残りの4人は大里ふるさと村など八丈島内を観光した。
参加者の年齢は31歳から75歳までと幅広い。定年退職後に地元の千葉県佐倉市でボランティアなどをして暮らしている三橋良弘さん(74)は「10年前に小笠原へ行って島旅にはまり、月に2、3回出かけるようになった」。訪ねた島は有人島だけで320以上。訪問先のマンホールを撮影するのが趣味という。
「たとえば、神津島のマンホールはイソヒヨドリとカジキマグロの絵の2種類がある。各地方の特徴がわかって面白いんです」と三橋さん。今回の旅では、「青ヶ島がまた好きになった。静かでいい所。人間がガサガサしていなくていい」と話した。
馬場さんは、ツアーの合間にフェイスブックで経過を報告。「下手な海外旅行よりスリリングで楽しそう」などたくさんのコメントが寄せられた。
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