自転車と公共交通機関を使って旅を楽しむ「輪行サイクリング」が静かなブームになっている。輪行で利用する公共交通機関は飛行機が一番便利で、八丈島は羽田からの日帰り輪行のグッドポイントだという。
青空が広がった13日、朝の飛行機で来島し、島を自転車で1周したのは、岡山市の岡崎世作さん(52)、姫路市の常盤充さん(48)、大分市の柳井智雄さん(38)の3人のビジネスマン。いずれも電気機械メーカーの代理店の社長だ。定期的に全国各地で開かれる会議で顔を合わせるが、自転車という共通の趣味で意気投合、年に数回、会議の後の輪行を楽しむようになった。
今回は東京で11、12日と会議が行われた。3人は輪行用の専用バッグに入れた自転車を持参して上京。仕事明けの13日朝、自転車と共に飛行機で八丈島へ向かった。
空港に着くとさっそく自転車を組み立て、登龍道路からアタック。秋の光があふれる坂上のサイクリングを楽しんだ。
お昼は、事前にチェックした情報でどうしても食べたかった島寿司を満喫。午後ものんびりと永郷を1周して、時間に余裕を持って空港へ。最終便にチェックインして自転車を入れたバッグをカウンターに預けた後、タクシーでふれあいの湯へ。汗を流して空港へ戻ってから出発までの時間は、レストランでタクシーの運転手に勧められた「唐揚げ」を肴にビールで乾杯した。
飛行機はベスト
大きな荷物を抱えて移動する輪行で、利用する公共交通機関を便利な順に並べると、飛行機、船、電車、バスの順になるという。電車やバスはラッシュ時を避けなければならず、どちらも荷物の置き場所に苦労して、気を遣う。その点、飛行機は荷物を空港のカウンターに預けることができて、通常のサイズなら貨物運賃も無料だ。こうした待遇の良さで、「空」と「自転車」をうまく組み合わせた輪行の旅は人気が高い。
「たとえば房総を廻るとなると2日がかりになりますが、今日走った距離は50?ほどで、日帰りのエリアとしてピッタリ。高低差もそこそこあって楽しいサイクリングができました。旅の喜びは地元の人と話をすること、おいしいものを食べることで、お昼にいただいた島寿司は最高でした」と3人。
輪行ポイントとしての八丈島にも大いに可能性を感じたという。「島1周50?、しかも中央部がスタート地点となるので体力差に合わせロングライド1周コース、ファミリー向け永郷1周コースなどの設定で自転車大会
を開催すれば、アクセスの良さと島人の優しさで人気が出るのではと思いました。もっと宣伝するといいですね」と常盤さんは提案する。
大満足の輪行で一つだけ心残りなのが、この日の夜の郷社の祭りに行けなかったこと。「島酒飲み放題と聞いていたのに」と悔しがっていた。
午前中に坂上を1周し、横間の展望台で一息入れる3人。最終便で着いた羽田からは、それぞれ岡山空港、伊丹空港、大分空港へと帰路の便に乗り換え、その日のうちに自宅に戻った。なんとも中身の濃い秋の1日となった。
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