一般にカナブンと呼ばれている光沢をまとった甲虫類。コガネムシ科に属し、八丈では、「リュウキュウツヤハナムグリ」と「アオドウガネ」の2種をよく見る。両者とも外来種だが、前者はシロテンハナムグリ属、後者はスジコガネ属で、生態は異なる。
島内で一時期、大量に発生し勢力分布を拡大したリュウキュウツヤハナムグリは、上翅を閉じたまま脇から後翅を出して、早いスピードで飛ぶ。花やトマト・とうもろこしなどの甘い野菜や果実、樹液を食し、日中に活動する。
一方、このところ分布範囲を急拡大しているのがアオドウガネ。植物の葉や芽を食し、モチの木や椿などの常緑樹でよく見られる。上翅を広げて飛び、夜行性で、灯火に集まる。
一般的に「害虫」として認識されているのはアオドウガネで、土中の幼虫が根を食べるため、農作物の食害が問題となる。成虫は誘殺灯での誘殺、幼虫は土壌への薬剤散布で防除する。
島しょ農林水産総合センター八丈事業所によれば、八丈島では両者とも駆除や研究の対象にはなっておらず、データはとっていないが、今年は例年よりアオドウガネが多いのではないかという。
在来種の運命は…
アオドウガネに似たものに在来種の「ヤマトアオドウガネ」がある。11年版の東京都レッドリストでは「八丈島では近似種で国内外来種のアオドウガネが侵入し、勢力を拡大しつつあるため、衰亡が危惧される」とされ、留意種として掲載されている。八丈ビジターセンター解説員の菊池健さんは「少し前までは昆虫観察会などでも確認ができていたが、ここ2〜3年で、植物公園周辺ではまったく見られなくなった」と話す。
同じく在来種の「シロテンハナムグリ」も、外来種の増加とともに確認が難しくなってきており、生態系の変化が懸念されている。
アオドウガネ
5〜9月にかけて出現。体長18〜23ミリ。上翅はツヤケシで、うすくたて線が入る
リュウキュウツヤハナムグリ
5〜8月にかけて出現。体長16〜28ミリ。ハデな光沢のある上翅
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