東京都の猪瀬直樹副知事は7日、東京電力の八丈島地熱発電所(最大出力3300KW)など、島内にある発電施設を視察した。猪瀬副知事は、地熱、風力、そして内燃力(ディーゼル)を組み合わせた八丈島の発電システムを「電力地産地消のモデル地区」と評価した。また、福島第一原発事故以来休館している地熱PR館について「島にとっては大切な観光資源」として東京電力に再開を働きかけた。
「地熱PR館再開を」
分散型発電の必要性を提唱する猪瀬副知事は、4月28日に港区・六本木ヒルズの自家発電施設(3万8660KW)、5月23日に川崎市の川崎天然ガス発電所(84・7万KW)、また、6月9日には群馬県水上町の玉原揚水発電所(120万KW)を視察。6月13日に八丈島を訪問する予定だったが、悪天候で延期になっていた。
2便で報道陣と共に八丈島入りした猪瀬副知事は、町役場を表敬訪問した後、東京電力の内燃力発電所を視察し、配電盤室やディーゼル発電機が設置された機関室を見学しながら、東電職員から島内の電力供給体制や電力需要などについて説明を受けた。
その後、一行は中之郷の地熱・風力発電所に移動。震災後の3月21日から休館している「TEPCO八丈島地熱館」に入館し、地熱発電の仕組みや八丈島における発電史などの展示を見た。
地熱発電所は現在、2200KWの出力で運転しており、発電所内は白い水蒸気が上がり、硫黄の臭いが漂っている。施設を一巡した後で、報道陣の取材に応じた猪瀬副知事は「地熱は24時間安定的に一定の電力供給が可能で、国内の資源は豊富で原発のようなリスクもない。また、世界の地熱発電システムの3分の2は日本の技術が使われており、技術的にも潜在力は高い。将来有望なエネルギーで、不必要な規制を取り除き、もっと普及させるべき」と地熱発電を評価した。
八丈島については「地熱、風力、内燃力がバランスよく組み合わされており、電力の地産地消のいいモデルだ。東電は地熱PR館を他の施設と一律で休館しているが、事故を起こしたのは原発で、地熱をもっと積極的にPRすべき。八丈島の観光にとっても重要な施設でぜひ、融通をきかせてほしい」と語った。
地熱発電所のプラントについて東電職員から説明を受ける猪瀬副知事
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