八丈町消防団中之郷分団に5月1日付けで、初の女性団員が誕生した。「蓮華」のママとして親しまれている山口邦美さん(46)=写真。「以前から声をかけられていて、やってみようという気持ちはあったんですが、本当に必要とされているのかどうかわからなくて。団員が減って本気で人を探していると知り、少しでもお役に立てればと入団を決意しました」と語る。
男性に混じって活動することについては「昔から知っている仲間ばかりなので、抵抗はありませんでした。分団の人たちもみんな喜んでくれました。詰め所には男女別の公衆トイレもあり、施設面などで特に不便を感じることはありません」という。
消防庁は03年に、全国の消防団それぞれの団員総数の10%以上を女性にする方針を打ち出しており、団員の全体数が減少する一方で、女性団員数は年々増加している。10年4月1日時点のデータでは、女性団員がいる消防団は全国で1196団(全体の52・6%)で、総数は1万9043人(同2・2%)。
今回の入団について八丈町消防本部では「入団の条件に男女の別はなかったが、今まで希望者がいなかった。人員確保の面からも、やる気のある方がいれば、今後も受け入れていきたい」と話す。女性消防団員の活動形態は、地域の実情に合わせてさまざまだが、一人暮らしの高齢者宅の防火訪問や応急手当の普及指導など、女性のソフトな面を生かした業務も期待されている。八丈町でも女性団員が増えれば、将来的にはそのような活躍の場を設けたいという。
「体力がないと厳しいと思われるかもしれませんが、力仕事以外にもやれることはいろいろあります。忙しいイメージもありますが、月に2回の定例出勤や年末年始の見回りなどは当番制なので、時間的にもそれほど負担にならないと思います。敷居は高くないので、自分たちの地域を守るために、たくさんの女の人たちに後に続いてほしいですね」と山口さんは笑顔で語った。
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