1980(昭和55)年の着工から30年、底土港─空港─八重根港を結ぶ全長7352m、道幅18mの八丈都市計画道路3・4・1号線は、今年度の工事を最後に完成する。これまで投じられた事業費は概算124億円。八丈島史上最大の道路整備プロジェクトだ。
都市計画道路の計画が初めて住民に説明されたのは78年10月。空港はジェット機就航に向けて、1500mの滑走路を300m延伸する計画が具体化。また、大型船すとれちあ丸が就航するなど、アクセスの変化とそれにともなう基盤整備が動き出した時代だ。
空港から底土まで3752mの都市計画決定は翌79年3月。80年7月には第1期区間(空港〜倉の坂、2062m)の工事に着手、6年後の86年4月に全線開通した。引き続き着工した第2期区間(倉の坂〜底土、1690m)は99年5月開通。
第3期区間(八重根港〜永郷道路、1960m)は89年10月に事業認可、03年7月に開通。第4期区間(永郷道路〜空港、1640m)は、山林部分を掘り割り方式で整備し、現在工事中だ。
支庁土木課が「島内の都道整備は歩道設置などを残して概成した。今後は新規路線開設ではなく、既存道路の改修が主体になる」との認識を示すように、道路整備を核としてきた島のインフラ整備はターニングポイントを迎えた。
多額の税金を投入して行う公共事業は未来への先行投資で、20年後、50年後を想像してグランドデザインを描く長期的な視点が求められる。これからは便利さ、暮らしの豊かさを追及するだけではなく、災害から人の命を守ったり、失った自然を再生したり、新しいエネルギーを生み出すといった、新たな可能性を期待したい。後世に「先見の明があったね」と言ってもらえるよう、島の未来に底力をつける公共事業を創出してほしい。
写真=今年度、整備が行われる空港前。既設のビロウ並木の先から大群陸橋まで残された区間は230m。植樹帯に植えられたビロウは全線合わせて1319本。島を訪れる観光客の目に最初に映る島の景観だ
|