昨年夏、三原山南西斜面で大規模に発生したカシノナガキクイムシによるスダジイの集団枯れ。発見から10カ月以上が過ぎて、スダジイの新緑がまぶしい季節を迎えたが、被害樹の枯れた枝からは新緑の力強い芽吹きは見られない状態だ。
都は八丈島のスダジイの被害本数を10万本と推計していたが、都環境局緑環境課が昨年11月に撮影した航空写真を詳細に分析したところ、2万1000本と修正した。当初の予測より大幅に少ない数字だが、三宅島の200本、御蔵島の400本とはケタの違う規模だ。都環境局では「被害樹が枯死しているかの把握をはじめ、今後は業者に委託してさらに詳しい現地調査を行っていく。被害範囲も広範で、どのような対策が現実的なのか、検討したい」としている。
5月11日から3日間、森林総合研究所の担当者が来島し、三原山の集団枯れが発生している中之郷と末吉の境界付近で、ナラ枯れ予防用樹幹注入剤の適用試験を行った。この薬剤は予防接種のようなもので、カシノナガキクイムシの新成虫が羽化する前に注入して、穿入時に樹幹内に持ち込まれる原因菌の増殖を阻害する。担当者は「スダジイは試験結果がなく、適用を見極めるためのもの」と話している。
13日、森林総合研究所の担当者が都や町の関係部署の職員と共に、健康なスダジイ50本にドリルで穴を開け、2種類の薬剤を注入した=写真
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