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第3448号  2010年(平成22年)7月9日金曜日


● これからの図書館って… 島の情報、交流の拠点に 図書館まつり開く
● 参院選11日投票 結果によって「衆参ねじれ」も
● もりさいせい(1) 公共施設の木造化 国が率先 地方でも
● 女王シロアリの産卵抑制フェロモン突き止める 駆除に応用も 岡山大研究チーム
● 行ってみたい離島 50島中、八丈は13位 
●「島チャリ」始まる 風力発電で観光アシスト
●「新しいエコ観光のスタイル」 フレデリックさん夫妻
● 正会員155人に 法改正で59人減 遊漁船28%減 八丈島漁協総会
● 低堤でバショウカジキ!! 
● ワクチン接種に助成 子宮頸がん、Hibなど 町が検討
● 6月就航率7割 ANA 来島者は微増
● 世界遺産登録 来年7月に決定 小笠原
● 8.1 團伊玖磨記念サマーコンサート
● たんしん 家族介護者教室「ケアケア交流講座」
● たんしん 東京法務局特設登記所



「島チャリ」始まる
風力発電で観光アシスト






 充電した電動アシスト付自転車で島を巡る「島チャリ」が7月1日からスタートした。八丈島活性化協議会が国の助成を受けて行う電動アシスト自転車のレンタルシステムで、八丈島の新たなエコツーリズムとして今後話題を集めそうだ。
 拠点となるのは町役場前駐車場の一角に新たに整備した風車と駐輪場の基地。ここに電動アシスト自転車10台をおき、観光客らに1台1日2500円で貸し出し、ゆっくりと島巡りをしてもらう試みだ。受け付けは観光協会事務所で行い、貸し出し時間は午前9時から午後5時まで。
 事業主体は八丈町、八丈町商工会、八丈島観光協会、八丈島建設産業協会、(株)JTB首都圏で結成した八丈島活性化協議会(浅沼孝彦会長)。国土交通省が行う「建設業と地域の元気回復助成事業」(09-10年度)の一環で2000万円の助成を得て実施した。電動アシスト自転車以外にも、サンゴ養殖を体験できる観光メニューを実施する。
 自転車と充電器はJTB首都圏「旅チャリ」事業部からのリースで、10アンペアのリチウム電池を搭載している。アシストの使用頻度にもよるが、1回の充電による走行距離は20キロ程度。特に登り坂でのアシスト効果は大きく、一般の人でも横間の急坂を登り切ることができるという。
 東京電力中之郷地熱発電所にも充電器5台が据え付けてあり、見学中にバッテリーを充電すれば、安心して坂下まで帰ってくることができる。
 レンタサイクルはこれまでも免許を持っていない若者や健康志向の人に利用されたいたが、坂が多いために長距離を走るとなると利用者は限定された。電動アシスト自転車はこうした利用者の年齢層もを大きく広げるものと期待される。
 もう一つが強まるエコ意識に応えられること。「風力や地熱の自然エネルギーで充電することも、利用者の『エコ感覚』を満たす大きな要素。観光客だけでなく島民にも体験してもらい、この事業が観光や暮らしの両面からエコ・アイランドとしての八丈島を発信していける先鞭になればと思います」と関係者は期待している。
 
「自転車で回ったことで、島の自然の音や気持ちのいい風を感じることができました」──。こう話すのは東京世田谷区のフレデリック・ヴィエノさん(36)と山口麻衣子さん(34)夫妻=写真。
 2泊3日の八丈旅行だったが、2人とも自動車の免許がないため、最初から自転車で島を巡る予定をしていた。1日目は普通のレンタサイクルで坂下の市街地を回ったが、「坂上まで遠出するには、ちょっと体力的にきついかな」と感じたという。
 そして2日目。宿で「島チャリ」の情報を聞いて、初めて電動アシスト自転車に乗ってみた。午前中は横間道路を経由して中之郷・藍ヶ江の足湯まで。坂下に戻って昼食をとった後は、雨と風に悩まされながらも南原海岸をグルッとツーリング。1日で約30キロを走破した。
 会社員の山口さんは普段はあまり自転車に乗る機会はないというが「急な坂道も座ったままでペダルを漕ぐことができ、横間道路は振り返って景色を楽しみながら登りました。止まっても漕ぎ出しが楽でした」とそのアシスト力にびっくり。フランス人でミュージシャンのフレデリックさんも、「今回は天気に恵まれなかったので、もう一度来て、次は自転車で山へ行ってみたい」と再チャレンジに意欲的だ。
 ふたりは今後の課題について、「来島者に情報をどう伝えるのかや、今は自転車利用を意識した観光パンフレットもないので、工夫が必要です。夕方5時までという貸し出し時間も少しせかされるようで、使いづらかったです。風力や地熱の自然エネルギーを利用するアイデアは新鮮で、新しい八丈島のエコ・ツアーのスタイルとして発信できると思います」と感想を語った。