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第3672号  2017年(平成29年)2月24日 金曜日


● 町議会全員協 職員研修 途中退職で論議 住民サービスの低下懸念
    資格取得後の離職も 「誓約書はとれないし…」
    出入り激しい看護師ら医療スタッフ
● 主な投資的事業 製氷貯氷施設、三根公民館など 新年度一般会計77.4億円
● 警視庁ヘリ 救出訓練 洞輪沢崖崩壊から100年

● 夏の乙千代ヶ浜プール ポンプ設置 「そろそろ限界」 樫立自治会で議論
    観光施設の色合い濃く
● 地熱発電 「協定締結後に説明会」 町長、オリックスと面談
● 12月は67万円 ANAふるさと納税 
● ハイブリッドワゴンの町長車 新車で450万円は高い?
● 地熱館入館者 無料にしたら1.4倍
● 読書感想文全国コンクール入賞 「ホロコーストを見つめて」 佐藤宇宙さん
    真実に向き合い 自分に置き換えて考える
● 熱中小第1期生 3月11日 終業式

● 森林総合研究所 川上和人研究員 生態系の運命決める海鳥 西之島☆噴火始末記
    海鳥がもたらすもの
● 変化のプロセス見られる希有な場所 小島のヒナ2羽に クロアシアホウドリ
    
● 木工作品充実 P連作品展 注目集めた 精巧細工「からくり箱」
● GWと夏休みに運行 観光協会の観光バス
● 19日、小池知事来島
● 関東東海花展入賞者
● 人事トピックス 

●たんしん
    第39回八丈島駅伝大会 26日、八高前スタート
    八丈サイエンスクラブ研究発表会 26日、商工会研修室で
    富士中展示会 3月4、5日、大賀郷中と三原中の学習発表会 5日、各校で
    第62回八丈島連合婦人会総会 5日、町ホールで
    島しょ農水センター八丈事業所(農業)の研究成果発表会 9日、農林合同庁舎会議室で
    第49回八丈島全島卓球大会結果




 

森林総合研究所 川上和人研究員 生態系の運命決める海鳥
西之島☆噴火始末記


鳥類学者で森林総合研究所鳥獣生態研究室主任研究員の川上和人さん


川上さんらが上陸した西之島の海岸。奥の一段高いところが旧島の高台部


火山灰をかぶった旧島の地面。あちこちに草が生え、岩の上は海鳥による糞でまっ白に


旧島の地面で抱卵するアオツラカツオドリ(写真提供・川上和人さん)



 

 昨年10月、噴火後初めて西之島に上陸した鳥類学者で森林総合研究所鳥獣生態研究室主任研究員の川上和人さん(43)=写真=による「西之島☆噴火始末記〜鳥がいなければ、島なんてただの山〜」の講演会が11日、八丈ビジターセンターで行われた。
 小笠原父島から約130キロ西にある無人島「西之島」は、1973年の噴火により、流れ出た溶岩や噴石物で小さな島のすべてが覆い尽くされた。そこからどのように命が根付いていくのか、研究者にとって、「進化の実験場」と言われてきた。
 13年11月20日、 西之島の南南東500メートルの海中で噴火があり、新しい陸地が出現した。活発な噴火活動は15年末まで続き、旧島を飲み込むように島は成長。最終的に南北、東西に約2キロ、面積は2・73平方キロメートルで、噴火前の約12倍の陸地が形成された。火口丘の最高標高は142メートル、溶岩の堆積量は8722万立方メートルに達するとみられる。
 16年8月、気象庁が火口から半径1.5キロの警戒範囲を500メートルへ縮小したため、上陸調査が可能となった。同年10月、噴火後初の上陸調査が東京大学地震研究所の調査チームらと共に、海洋研究開発機構の新青丸によって行われたが、その際の上陸メンバーの一人が川上さんだった。
 1回目の上陸調査は10月20日。地質、噴火、生物の専門家ら7人が、外来生物を持ち込まないように、海岸から約30メートルまでゴムボートで接近し、ウェットスーツで泳いで、旧島の地面が残る場所に近い海岸に上陸した。
 噴火以前、旧島では海鳥8種、植物6種の生息が確認されていた。上陸してみると、旧島由来の陸地のほとんどは火山灰に覆われていたが、ところどころに草が生え、オヒシバ、スベリヒユ、イヌビエの3種の植物が確認された。
 オヒシバは無数の種子を付け、新たな芽生えが始まっていたという。噴出物のすぐ近くに植物が生息していたのは、噴火による火山ガスの影響が少なかったためだとみられる。
 鳥類では、ドローンなどを使って事前に行われた調査や、航空写真によってアオツラカツオドリ、オナガミズナギドリ、カツオドリなどが、すでに島に帰っていることがわかっていた。この日もこの島に一番多かったカツオドリは繁殖期が外れるためにいなかったが、アオツラカツオドリ(この島と尖閣諸島だけが繁殖地)が卵を抱き、ヒナを守っている姿が観察された。陸地は海鳥の白い糞が至る所に見られ、周辺は餌となる魚の生臭さが漂っていたという。
 4時間の上陸調査で、ほか数種類の海鳥や渡り鳥、トンボなどの昆虫、イネ科の植物などが見つかった。翌日も上陸はしたものの、波が高かったことから陸上の調査は断念。鳥の鳴き声を録音する装置と自動撮影カメラを据え付けて、一行は島を後にした。

海鳥がもたらすもの

 海鳥はバードウォッチャーに「不人気」だという。「地味で、遠くにいて、見分けづらい」からだ。が、海鳥が新たにできた陸地に果たす機能は多大だ。食べ物がなくても海で獲るので困らない。集団で高密度に繁殖し、地上に穴を掘り、草を踏んで抑制する。糞は窒素(リン)が多く、昔から肥料(グアノ)として重宝されている。できたばかりの島の土壌環境を変えるなど、環境の多様化に大きな役割を果たす。
 植物の種子や小さな動物の散布機能も大きく、小笠原での調査では15〜30%の海鳥の身体に種子がついていた。種子も付着型、風散布型、被食型と、戦略を駆使して、より広い世界に子孫を繁栄させようとする。
 海鳥は巣を作るためにもいろいろな有機物を島へ運び込む。巣を中心に有機物、栄養、種子、昆虫などの生態系をつくり出す。まさに「海鳥が生態系の運命を決める」役割を果たしている。

変化のプロセス見られる希有な場所
小島のヒナ2羽に クロアシアホウドリ



 講演会の翌12日、川上さんは都の鳥獣保護員の森由香さんら関係者と共に八丈小島にわたり、クロアシアホウドリの繁殖状況などを観察した。
 先に確認されていたひとつがいの他にもう一組のペアにヒナが孵っているのがわかった。残りのペアはすでに抱卵を放棄しており、今シーズンはこの2組が繁殖に成功したものと見られる。
 川上氏は「八丈小島ではノヤギを駆除した後にクロアシアホウドリが飛来しています。個体数が増えれば、この鳥も生態系の中で新たな役割を果たすことになります。八丈小島は西之島と同じく、その変化のプロセスが見られる希有な場所なので、将来が楽しみです」と話している。