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第3589号  2014年(平成26年)1月1日 水曜日


● 島ことばの恋文──鶴窓帰山著「八丈の寝覚草」に


● 八丈島産の牛乳復活 放牧飼いジャージー種のノンホモ牛乳

  いずれは学校給食に
  牧場は3人の若者で

● より疾く より強く よりやさし。

● 未刊のまま不明に 鶴窓帰山の『八丈織』
  荻原正平に出版託すが…
  「寝覚草に異本」 ”初出祝”が記載

  帰山は在島30年
  荻原正平と維新思想

● 丸ポスト20本 化粧直し──姿消した大里には復活 郵便局「景観に配慮して」
● さわさわ おふくわけ


● 出発点は八丈島だった ぺおじさんの芸術──イラストレーター・エッセイスト 鯨森惣七さん
● 大切なことを伝え忘れていないか 自然の中の親たちはちゃんと伝えている
● ニンゲンはアホーなのよ!


● 勉強会でポイント解説 町の再エネ基本条例
● 地熱発電拡大で八丈はどう変わるのか
  地域再生可能エネルギー対談 ふたりのキーパーソンに聞く


● 頌春句 八丈島俳句会

● 町職員希望すれば65歳まで再任用──12月議会条例制定 雇用と年金の接続で
● ようやくフルオープン 外構工事終わり落成式──防災機能備えた支庁新庁舎
● 13年度野球リーグ 八丈支庁優勝──投手部門3冠 MVP 阿部翔太郎選手
● 新造船あおがしま丸 4日から就航──
底土港ベースに週4便
● 八丈島歴史セミナー参加者募集

● 都知事選 2月9日投票──猪瀬直樹前知事 引責辞任
● 宮古島から新天地求め 養蜂家・佐久川洋子さん
  ミツバチ試験飼育 島内2カ所に巣箱置く
● ざつおん 平和な年に
● 新春の行事 第46回新春サッカー大会 元日〜3日、南原スポーツ公園
        消防団出初式 4日 9時30分〜 中之郷運動場
        八丈町成人祝賀式 5日 10時30分〜 多目的ホール「おじゃれ」
        鏡開き
11日 10時〜 大賀郷公民館 13時〜三原小体育館 13日 13時〜 三根小体育館
        第33回パブリックロードレース 12日 富士中学校メイン会場
        島ことばカルタ大会 13日 9時30分〜 大賀郷公民館

        為朝凧あげ大会 18日 10時〜 三原中校庭
        武道始式 19日 13時 八高武道場
● たんしん 第7回如月杯バレーボール大会 2月16日 島内小中学校体育館 参加チーム募集
       サッカー・第32回八丈リーグ結果
       13年度八丈島ジュニアベースボールカップ(学童部リーグ戦)結果




出発点は八丈島だった ぺおじさんの芸術
イラストレーター・エッセイスト 鯨森惣七さん








鯨森さんの作品



 記憶の底に眠っていたような色彩で、なにかとても大切なことを伝えてくれている――。鯨森惣七(くじらもり・そうしち)さん(65)のイラストや絵本は、こんなふうに評価され、ファンも多い。作品に出てくる「ぺ」というキャラクターは鯨森さん自身のことのようだ。
 長く暮らした札幌では、広告やイラスト、店舗設計、陶芸や照明器具の制作などに豊かな才能を発揮してきた。
 「出発点は八丈島だった」と鯨森さんは語る。20代のころ4年間暮らした八丈島の生活を、鯨森さんはエッセイ『海にもらった木洩れ日』で次のように書いている。

 ハタチの春、学生運動で殺伐とした東京の街を離れた。子供の頃のように、ボクは海にいた。
 八丈島は、太陽につつまれた小さな島だった。日本の静かな夏の匂いがして、日陰にはいると気持ちがおちついてくる。ここで生活して、少し自分について考えたかった。「海に挑む漁師」の絵を描こうというモクロミがあった。

 だが、「いつも命をかけている男たちに向かうと、とてもじゃないが手が震えて描けない。絵を描くことなど遙かかなたのタワゴトであった」と、そのもくろみが挫折したことをつづっている。
 2年目の夏、八重根に古材で建てた小屋で暮らしていた鯨森さんは、深夜の月あかりでトマトが、こっそりと育っている神秘を目にした。水平線に浮かぶ白い月が風景を白くつつんでいたとき、トマトが急にふくらんだという。鯨森さんの生き方は、その夜から変わった。ひたすら自然と向き合い、月の光で自分の存在もまた育てられたいと願うようになった。
 札幌ではアンティーク家具の店を開業した。節約のために使ったダンボールの壁が話題になった。取材などで東京からも来客が増え、カフェダイニングに生まれ変わった。店名は「TOMATO MOON(トマトムーン)」。
 まちづくりのプロデュースにもたずさわった。企画したイベント「桜まつり」では、街が活気づき、静かな裏参道はビル街に変貌していった。そこに地上げ屋が入ってきて、「トマトムーン」は営業場所を追われることになった。
 その後、庭に桜の咲く一軒家を探した。桜は脹らんだ蕾を満月の夜に咲かせる、と本で知り、白夜でのトマトと同じことが起きると思った。そして、紹介された古い洋館風の民家を、春は桜、秋は紅葉が見えるよう改装し、「SAKURA MOON(サクラムーン)」と名づけた。古民家カフェのハシリだった。外との一体感を味わえる店内は、札幌の人気スポットとなる。新しい作風の表現としてこの店を造った鯨森さん。「八丈島の海からもらった生き方」という。
 「いずれイラストスクールのようなことをやりたい。表現の可能性や、その人の持っている才能を引きだすお手伝いをしたいです」と話す。







絵本『ペ・リスボーの旅・ダラララー』より