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第3584号  2013年(平成25年)11月15日 金曜日


● 系統解明には根拠が不足──国立国語研究所 八丈方言調査報告
  八丈方言の昔と今 合同シンポジウム
  古さだけではわからない系統関係
● 台風26号 農業被害1.5億円
  露地野菜は3千万円

● 八丈方言の語彙(1950年の調査との比較)表
● 「島の発酵食品文化 極めたい」──毎日農業記録賞 優良賞 八高3年 喜田直人さん
● 小島で捕獲したのはドブネズミ 同定で判明

● 地熱理解促進関連事業で高校生ワークショップ──「未来を想像し、実現する力を」
  湯沢翔北高と八高生が交流 ディベートや発想ゲームで
● 島の空を飛ぶ 目に焼きついた空からの光景

● 南大東島の小中学生 ルーツの八丈島で交流学習
● 12月15日の昼夜2回 「おじゃれ」初の映画会──「旅立ちの島唄」
● 郷社のお祭り かわいいウェーブ!
● さわさわ おっ母さん
● たんしん 社協福祉バザー 17日 9時30分〜11時30分 三根小
       樫立三島神社例祭 22日 18時〜 前夜祭 23日 8時〜 神輿 18時〜 演芸会 樫立公民館
       中之郷三島神社例祭 23日 13時〜 みこし 17時〜 宵宮祭 24日 11時20分〜演芸大会 屋内運動場
       アイランダー2013Let's島活!見つけよう私の島 23、24日 池袋サンシャインシティ3F展示ホールC
       健康セミナー&心をつなぐ演奏会 24日 14時10分 多目的ホール「おじゃれ」
       第28回浅葉杯全島卓球大会参加者募集 12月7、8日 三根小体育館
       八丈島テニスクラブ第25回シングルス大会結果



系統解明には根拠が不足
国立国語研究所 八丈方言調査報告




シンポジウムの様子


八丈語の系統関係をモデルで説明






八丈方言の昔と今 シンポジウム

 国立国語研究所と八丈町教育委員会共催の「『八丈方言の昔と今』全国危機方言サミット(仮称)に向けて」と題する合同シンポジウム(第7回八丈方言講座)が9日、八高視聴覚ホールで開催された。第1部は、同研究所による八丈方言調査の成果が報告され、第2部では、消滅危機言語の継承に取り組む沖縄各地の事例と、町教委の取り組みなどが報告された。この研究の代表で国立国語研究所副所長の木部暢子氏は、八丈方言の重要性を指摘。来年の12月、13、14両日には、「全国危機方言サミット」を八丈島で開催する予定、という。

 国立国語研究所による1950年の八丈島言語調査では、大田南畝(おおたなんぽ、1749‐1823)の著書『一話一言』に収録されている八丈方言207語の追跡調査を行っている。その結果、約20%が使われなくなったという結果が出ている。昨年の調査は、同書に所載の54語を含む基礎語彙550語をはじめ、74文例の文法を調べたもので、この60年間の変化のおおまかな傾向を知ることができる、としている。
 この調査結果を報告したのは国立国語研究所の木部暢子氏。聞かれなくなった古いことばは、「ヤアヨウ(=夕方)」、「タカタラ(=篭)」など。新しく変化した語もあり、「子牛」の八丈方言は現在は「チョンコメ」だが、『一話一言』には「ヲシヨ」「ココメ」と記されている。同書にある八丈方言は、『八丈島俗通志』(著者、作成年代は不明)から転載したもの、という。

内的、外的な力で起こる変化

 内的な力で自然に起こる変化や、外的な力による別のことばへの差し替えで、ことばは変化していく――と、「八丈方言の新たな変化と揺れをめぐって」を報告したのは金田章宏千葉大学教授。
 今回の調査で、ひとりの人に古い語形と新しい語形が同居していることもわかったという。「酒さえあればなにもいらぬ」の「いらぬ」を、八丈方言では「イリンナカ」「イリンナッキャ」というが、「イリンナカ」の方がより古い形。金田教授は「新旧の方言を話す人には古い形を使ってもらうことで、その延命をはかることができる」と述べた。

上代日本語や琉球諸語と比較

 フランス国立科学研究所の研究員、トマ・ペラール氏との共同研究「八丈語の古さと新しさ」を報告したのは、平子達也氏(京都大学大学院、日本学術振興会特別研究員)。上代日本語や琉球諸語と比較し、「八丈語は、上代東国方言(奈良時代の東日本方言)の特徴や上代中央方言にあった特徴を保持している一方、琉球諸語との共通性も見られる。また、現代の琉球諸語や本土諸方言には見られない『古さ』を有しているが、八丈語内部での変化も見られる」と指摘。その上で、方言学的位置づけを明確にするには、証拠となる史料が不足している現状にも言及した。

古さだけではわからない系統関係

 日本祖語が、八丈語、本土諸方言、琉球諸語に分かれるというモデル1や、八丈語の日琉祖語に分かれるもでる2など、考えられる八丈語の位置づけに関するモデルをいくつか示し、「八丈語、日本語諸方言および、琉球諸語との系統関係を明らかにするのは難しい」と報告したのは、琉球諸語と古代日本語、日本列島諸言語の比較歴史的研究などを行っている平子達也、トマ・ペラールの両氏。「八丈語の歴史的位置づけを明らかにするには、『共通の改新』による系統関係の証明が必要」とした。