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第3561号  2013年(平成25年)4月26日 金曜日


小島にクロアシアホウドリ 約30羽を確認 巣作り、求愛のダンスも 早ければ今秋にも産卵
  将来はアホウドリの繁殖地に?
  婚約中と見られる親密なつがいも
  クロアシが新天地を開拓し アホウドリ誘導
  監視カメラ設置など保全対策を
● クロアシアホウドリってどんな鳥?
小島で繁殖準備 クロアシアホウドリ コロニー安定まで数年間「静かに見守って」
  夏場は海で生活 11月初旬に産卵 好条件揃った小島 長谷川氏は鳥島に
● 八丈小島 全島民離島から来年で45周年 八丈小島忘れじの会 石碑建立に向け募金活動開始
  小島、八丈島の記録映画上映
奥山豪士さんラトビアへ 兄弟揃ってプロサッカー選手 武宰士選手は新潟で
シリーズ観光協会(2)観光協会、伊豆諸島では… 大島町は施設運営委託 三宅村は職員派遣 イベントも受託
鳥島近海でM6.7の地震 八丈は揺れず
島の植物 独創的に 龍生派いけばな展
● 八丈島観光協会 暫定会長に山下芙美子氏 総会は5月29日
● ピアノ、太鼓の響きも… 新庁舎、ホール見学会に181人
  吊りパネル46枚 町民ギャラリー
● 写真投稿 gh50">「筑後川」合唱
声 中之郷小学校跡地は公園に 中之郷大好き・菊池総次朗さん

たんしん 27〜29日、5月1〜3日 八丈太鼓ナイト ポットホールで
● たんしん 28日9時〜 第9回ジュニアフットサル大会 南原スポーツ公園サッカー場で
● たんしん 29日13時30分〜 第39回中之郷自治会定期総会・第52回中之郷地域住民大会 公民館で
● たんしん 29日22〜23時 BS-TBS「謎解き!江戸のススメ」放映
● たんしん 3〜5日 八丈祭 天草倉庫前で
● たんしん 3日学童部 11日少年部 春季野球大会 南原スポーツ公園サッカー場で
● たんしん 3日9時〜 第48回棋羅名人戦 5日13時〜 こども囲碁大会 三根碁会所「棋羅」で
● たんしん 5日 第7回銀座柳まつり 西銀座通りなどで




小島にクロアシアホウドリ
約30羽を確認 巣作り、求愛のダンスも
早ければ今秋にも産卵


20日小島を調査する伊豆諸島自然史研究会のメンバーら


草地でのんびりと休むクロアシアホウドリの集団


つがいと見られる2羽



求愛のダンスもあちこちで見られた


オスが掘った産座を発見。営巣地となる準備が進んでいる


周辺の海上には飛んでいる鳥の姿も多く見られた



 伊豆諸島の鳥島など、現在、国内3カ所で繁殖するクロアシアホウドリの集団が八丈小島・鳥打で確認された。20日、鳥類学の権威で、伊豆諸島の鳥類や自然に精通する東京大学名誉教授の樋口広芳氏、鳥島でアホウドリの保護活動を続けている山階鳥類研究所の佐藤文男氏らによる現地調査が行われた。2人は「すぐれた環境条件も揃っており、早ければ今年11月にも産卵が行われるだろう。数年かけて順調にコロニー(集団営巣地)が形成されれば、その先は、アホウドリの繁殖地となりえる可能性は十分ある」との期待を膨らませた。八丈小島周辺はこれまでも、国・天然記念物のカンムリウミスズメなど貴重な野鳥が生息する野鳥の聖域として注目されてきた。ここが、クロアシアホウドリの新たな繁殖地になれば、鳥類生態学上も、保全生物学上もインパクトは絶大で、世界的な価値を有するエリアとなる。 

 最初にクロアシアホウドリを目撃したのは遊漁船・優宝丸の奥山文則船長。4月14日午前中に小島の北西側、旧鳥打村に上陸し、海岸から旧集落に向かう道で、4羽のクロアシアホウドリを発見した。文則さんは「10年ぐらい前になるか、やっぱりこの鳥をこの場所で見たことがあったが、それ以来のこと」と話している。

 文則さんから連絡を受けて、16日には八丈ビジターセンター解説員の高須英之さん、伊豆諸島自然史研究会事務局長の岩崎由美さんらが上陸し、約30羽の個体を確認した。さらに20日には、研究者の樋口氏と佐藤氏、島内の鳥獣保護員・森由香さんらが加わって調査を行い、3時間あまりの間に約20羽を確認した。

 確認されたのは、いずれも3〜5歳程度の若い成鳥で、まだ繁殖に至っていないと思われる個体群。飛来地周辺では、繁殖前のオスが繁殖場所を決め、地面を掘ってつくる「産座」を数カ所で発見した。また、2〜8羽程度に固まった集団のあちこちで、2羽、3羽による求愛のダンスが盛んに行われていた。


婚約中と見られる親密なつがいも

 「風に流されて偶発的に陸上に降り立つことがないとは言えないが、繁殖の目的以外でこれだけの規模の集団が陸上に何日も滞在することはなく、自らこの地を新しい繁殖地として選んでやってきたと考えるほうが自然。求愛行動のプロセスを観ても、婚約が整ったと見られる親密なつがいも存在し、早ければ今年秋には産卵が行われるのでは」と分析している。 

クロアシが新天地を開拓し アホウドリ誘導 

 クロアシアホウドリの生態にも詳しい佐藤氏は「鳥島に繁殖のスペースがないわけではないが、繁殖数が多くなると、一部の群れは、他の繁殖地を求めて移り住む習性がある。ただ、海鳥の場合、近い隣の島に繁殖地を移すことはあっても、いきなり鳥島から300キロ離れた八丈小島に新天地を求めたことにまず驚いた。情報を聞いて瞬間的に思ったのが、この先、アホウドリの繁殖地になるのではという期待。調査を通しての経験から、この2種類の鳥は常にセットで繁殖しており、クロアシがフロンティアとして新天地を求めコロニーを形成したところに、後からアホウドリが乗り込んできてクロアシを押しのけて営巣する。小島でもその可能性が考えられる」とその生態を説明した。

 現地を調査してその期待はさらに現実味を帯びたという。その根拠になるのは、アホウドリの仲間が鳥島などから通うメインの餌場が神津島近くの銭洲海域や、福島・茨城沖など、黒潮の北側で、八丈近海はその通り道であること。アホウドリの仲間にとってなじみのある場所で、小島に目を付けること自体は不思議なことではないためだ。

 八丈小島での繁殖が軌道に乗ったとして、鳥島と大きく異なるのが、銭洲や福島沖などの餌場に近いこと。「鳥島での子育ては、餌場までの行き帰りに距離があるが、小島が営巣地になれば、餌場にぐっと近くなる。その影響でこれまでと違ったサイクルでヒナが成長する可能性もあり、生態学的に非常に興味深い」と佐藤氏はいう。


監視カメラ設置など保全対策を

 小島で繁殖への準備を始めたクロアシアホウドリを保護していくために、今後、どのような対策が必要なのか。

 樋口氏は「現在、クロアシアホウドリが滞在している場所への立ち入り制限や、生息状況をモニタリングする監視カメラの設置が急がれる。幸いに小島はほとんどが都有地なので、そうした対応がしやすいのでは。長期的には繁殖生態の解明、由来個体群の特定、捕食者となりえるカラス類やウミネコへの対策、保護地域の設定ならびに、利用指針の策定などをやっていかなくてはならない」と、具体的な保全対策を提言している。



クロアシアホウドリってどんな鳥?

 IUCN(国際自然保護連盟)のレッドデータリスト絶滅危惧2種。アホウドリよりひと回り小さく、全長68〜74センチ、翼長は2メートルほど。成鳥の体重は3〜4kg。夏季はベーリング海やアラスカ湾、アリューシャン列島周辺に渡り、冬季はハワイ諸島、マーシャル諸島などで繁殖する。日本では聟(むこ)島列島、鳥島、尖閣諸島で繁殖が確認されており、約5000羽が生息する。

 アホウドリと同じく生涯一夫一妻制で、つがいはいったん巣を決めると変えない。1回の産卵で産む卵は1つ。

 ほとんど羽ばたくことなく風をつかんで滑空する。鳥島から八丈島までの約300キロは6時間程で渡るという。


コロニー安定まで数年間 「静かに見守って」

 八丈小島に飛来し、繁殖への準備を始めたクロアシアホウドリ。伊豆諸島自然史研究会では「ノヤギを駆除し、小島の自然回復に努めた結果、大きなプレゼントをもらったようなもの。地元が主体になって、繁殖地として定着させる体制の整備やガイドラインの策定を検討したい」と、思わぬ来客を喜ぶと共に、将来につながる保全対策の必要性を指摘する。

 最も大事なのが、産卵が始まり繁殖が安定するまでの数年間。「この期間はなるべくストレスをかけないように静かに見守ってほしい。産卵するつがいが多くなれば、見学なども心配ない。誰もが簡単に行くことができない鳥島とは違い、環境教育や観光の分野でも活用できる」と、研究者は話している。


夏場は海で生活 11月初旬に産卵

 クロアシアホウドリの生態は、解明されていない部分も多いが、アホウドリとほぼ同じ生活パターンだという。 

 繁殖を始める年齢は早くて5歳、平均で7歳程度。夏の間は海の上で生活し、子育てを行う11月頃に繁殖地に戻る。

 鳥島ではアホウドリより少し遅れて、11月初めにオスが島に帰り、巣の準備を行う。1週間後につがいのメスが帰ると、オスと交尾をして、またすぐに飛び去る。それから約1週間後、メスが再び戻って、大急ぎで巣を整え卵を1個産む。産んだ卵はオスが抱卵しながら1〜3週間あたためる。その後も交替で卵をあたため、卵がふ化するのは60日後、例年1月20日前後になるという。

 ヒナは1カ月間、親鳥の腹の下で過ごし、姿は見せない。2月中旬から5月初めまで、親鳥は交替で子守りと餌取りを行うが、5月中旬にはヒナを残して営巣地を飛び立つ。それから約1カ月、ヒナは飲まず食わずで過ごして体重を減らし、羽を広げて風を受け、空中に浮く練習を繰り返す。体重が3kgを切るほどになったある日、ヒナ鳥は島から飛び立つ。

 若鳥は海上で休み休み、飛び方や餌の取り方を覚え、次第に島を離れていく。巣立ちから数年は海上で暮らし、陸には戻らない。次に陸に降り立つのは繁殖へ向けて準備を始める段階だ。


好条件揃った小島

 繁殖地としての八丈小島・鳥打の環境条件は大変すぐれているという。

 小島を選んだ大きな要因の一つとして考えられるのが、食害や踏圧で植生を破壊するノヤギがいなくなったこと。01年から町が行った捕獲作戦では07年度までの7年間に1137頭を捕獲し、それ以降、小島でのノヤギ目撃情報はない。

 人が居住していない無人島であることは言うまでもないが、伊豆諸島で唯一、イタチやヘビがいない島であることも、子育てには好条件だ。

 三方が海に向かってなだらかに傾斜する地形も、営巣地には適している。どの方向からの風にも乗りやすく、離着陸が容易なためだ。斜面の面積も、数百のつがいが産卵できる広さがある。現段階では鳥打地区で確認されているが、宇津木側も営巣地の条件を十分に満たしている。

 また、鳥島が常に噴火の危険と隣り合わせなのに対して、小島は当面は噴火の可能性がないことも営巣地として大きなメリットになる。



 


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