過去記事TOPTOP


第3447号  2010年(平成22年)7月2日金曜日


●「臭気漏れなく 放流水も安全」 汚泥再生処理センター工事説明会
● 連立与党 過半数維持が焦点 東京選挙区24人が立候補 参院選スタート
● 2月の大雨で ヒナ10羽に影響 鳥島・アホウドリ営巣地に土砂流入
● 夏まつり 23、24日に
● こぼれ話 雌雄平等で、辛抱強い鳥
●「太鼓交流の足がかりに」 マウイ島の太鼓祭りで八丈太鼓 加藤雄太さんがプロデュース
● 2010参院選挙 東京選挙区立候補者 比例代表届け出政党・名簿登載者数
● 重要度増すリハビリ 町立病院の理学療法 脳血管障害、加齢による関節障害…
● 少年武宰士ものがたり 立志編(8)「代表復帰、そしてプロ契約」 手記:谷田部啓一さん
● 小さく少なめ トコブシ作柄
● 消防本部に5トン級新型消防車 初期消火に威力
● 夏季訓練講義はNBCテロ対策 10年度東京都消防訓練所長表彰者
● 4日に海開き 海の家は休止
● 投稿記事 「これからも卒業生を元気づける会に」
● 植物公園に「光るキノコ観察の森」
●「東京に学ぶ魅力」 16日、首都大学東京で公開フォーラム



2月の大雨で ヒナ10羽に影響
鳥島・アホウドリ営巣地に土砂流入






 今年2月13日、鳥島のアホウドリの繁殖地・燕崎(つばめざき)で前日からの大雨による土砂の流入があり、ヒナ2羽が救出され、2羽の死亡が確認された。このため5月と6月の2回にわたって環境省の緊急の土砂流入防止対策工事が行われ、長さ80メートル、幅5メートル、深さ2メートルの排水路が完成した=写真。
 土砂が流入した日、鳥島に上陸中だった(財)山階鳥類研究所職員・佐藤文男さんによると、翌14日、ヒナを捜す親鳥の姿が見られ、約8羽が死亡したと推定している。
 燕崎は傾斜が急で、東西の営巣地の中央部は常に土砂が流入している。ヒナの生き埋めや卵の転落事故はよく起きていたため、これを防止する砂防工事やススキの移植作業などは81年から断続的に行われてきた。今回は予算の関係で延べ14日間のスコップによる手掘り作業だった。 
 アホウドリのヒナは巣立ってから3年間は海で暮らし、ペアが見つかると、毎年繁殖地(85%は鳥島)へ帰ってくる。工事は、繁殖期が終わり、親鳥が1羽もいなくなった5月から行われたもの。「アホウドリは30年以上生きる。ヒナをまとまって失うのは痛い」と、佐藤さんは抜本的な砂防工事の必要性を話す。
 アホウドリの研究で知られる、東邦大学と京都大学野生動物研究センターの教授を兼任する長谷川博さんの調査報告によると、今春鳥島から巣立ったヒナは327羽。産まれた卵の数は446個、繁殖成功率は73.3%。全体では推定2570羽が生息している。
 長谷川さんをはじめ、環境省と山階鳥類研究所は、鳥島内で急傾斜地・燕崎に代わる安全な場所(初寝崎)に新コロニーを形成する事業を行ってきた。同島の噴火に備え、3年続けて小笠原群島の聟島(むこじま)への移住作戦も実施されている。これまで聟島に移住したヒナは40羽。今秋以降は最初に巣立ったヒナが戻る時期にあたり、作戦の成果が期待されている。
 
 こぼれ話

 鳥類の多くは、繁殖する相手をたびたび変えるケースがあり、研究者によれば、実はオシドリもかなり浮気性、という。ところが、アホウドリ類は例外だ。2、3年かけて相性の良い相手をじっくりと選び、生涯、とても仲が良い。
 アホウドリは、1年の大半を海で暮らす。夏はアリューシャン列島やベーリング海、アラスカ湾に渡り、繁殖期の冬になると、鳥島に戻ってくる。そこで、同じ相手と同じ場所で再会する。
 個体の識別は困難に思えるが、これまでヒナに足環を装着してきた研究者の努力のおかげで、相手が死なない限り、一生同じ相手と連れ添うことがわかった。営巣地では、毎年60センチ四方の巣を作るが、その位置はピンポイントで、ズレないという。「同じ位置に戻るのは、抱卵の間、星や月を見て過ごすので、正確な位置を知るのかもしれません」と、山階鳥類研究所職員の佐藤文男さん。
 抱卵日数は約65日。卵が孵化すると、オス、メス交代でヒナを温める。片方が餌を探しに出ている間、飲まず食わずで温め続ける。それが最長で5週間になったケースを、佐藤さんは観察している。
 アホウドリのヒナは、5月中旬から
下旬の巣立ちの前に体重を軽くしておかなければならず、数週間の絶食が必要。このため親鳥はひと月前の4月中旬から下旬に餌を与えるのをやめ、ヒナを島に残して海へ飛び去る。この時、親鳥の体重はヒナの体重より軽いという。アホウドリには学ぶことが多い。